
賃金制度の改定・構築
1.賃金制度の課題
賃金制度について、相談を受ける要因は以下の2点に集約されます。
高くなった賃金を抑えたい。
今日の低成長時代において人件費抑制が最も大きな課題です。
従業員のやる気を損なうことなく、業績に応じた人件費にしたい。
従業員のモチベーションを上げるために、頑張って成果を出した人にはあつ
く、そうでもない人にはうすく賃金を出したい。賃金総枠が決まっている以上、
年功に流れることなく成果に応じて振り分けをしたい。
2.賃金の役割
人は何のために会社で働くかといえば、生活の糧を得るためです。安心して生活するためには、賃金が安定していることが必要となります。賃金が、その人の成果や会社の業績に応じて激しく変動しては、高賃金の時があったとしても生活の安定が図れないため長続きしません。
「賃金は高ければよい」というわけではありません。高い賃金をもらっても嬉しいのは2〜3ヶ月で、すぐに当たり前になってしまいます。それよりも、賃金が世間相場より低いと不満となりやる気が失せてしまいます。大事なことは、賃金はその会社が属する業界で、世間並みであることです。
従って、基本給は従業員の生活を支えるものであることから、安定しており、やる気が失せることがないように制度設計し、運用しなければなりません。
これに対して、賞与は、短期間の業績を反映するものです。従って、従業員の成果に応じて配分するべきであり、基本給と連動することは正しくありません。
一般的に中小企業の賃金カーブは、大手企業の賃金制度のように中年以降大幅に上昇するようになっていません。それは、中途採用が多いことと、高度な専門的業務や管理業務がそれほど必要とされていないことによります。
すなわち、社長以外は本当の意味での管理職ではなく、多くの場合、単に先輩のベテラン社員なのです。また、それほど高度の専門的業務でもないため、一般的な業務の習熟は数年で終わってしまいます。そして、入社して3年の者もベテランの者も基本的には同じことをしています。つまり、勤続に応じて能力が上がり会社に対する貢献度が増すわけではないのです。従って、勤続に応じて賃金が大きく上昇するカーブは中小企業の場合は直ちに賃金のコストパフォーマンスの悪化に繋がっていくため抑制されることになります。
従って、中小企業の賃金制度は、大企業向けの制度をスケールダウンするのではなく、中小企業の特質に応じた制度を構築するべきです。
賃金管理の目的は、従業員が担当している仕事の内容や役割の大きさ、能力の高さといった現在価値に見合った賃金が支給されることです。
中小企業においては、3で述べた特質から、以下のように考えます。
まず、定型的な仕事に習熟するまでは、技能の上昇に賃金を比例させます。これは、職種別等のグループ毎に下限額及び上限額を設定し、定期昇給ルールを定めます。定期昇給により若年層の賃金を同業他社並にするとともに、上限を設けることにより、年功で賃金が上昇するのを防止します。(累積賃金)
次に、定型的業務を超えるレベル(係長程度以上)では、その従業員が担当している職務の価値や能力の高さに見合った賃金を支給します。その額は、自社に必要なポジションの社内価値を相対的に評価して決定します。(時価賃金)
このように、毎年積みあがっていく賃金(累積賃金)と能力や職務価値の大きさをあらわす賃金(時価賃金)を明確に分離させて運用することにより賃金管理が明快になります。
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